IQ162のバカ

知能が高い人間は果たして幸せなのか

そもそも、IQ(知能指数)についてみんなよくわかっていない

TVやネットで謳われるIQの数字はいいかげんなものだ。

 

IQ(知能指数)という言葉はだいたいの人が知っていると思う。

人の知能の基準を数値化したもので、数字が多ければ多いほど頭がいいんでしょ?

まあそんな認識でいい。

平均を100としてそこからの分布を計算して数値化したものなので、

受験に使われる学力偏差値と同じように点数と違って100点や0点などはない。

 

ネットやTVで以下のようなIQに関する話を目にしたことがあると思う。

・一般人の平均IQ100に対して、東大生のIQは平均で120

・刑務所の受刑者のIQを調査したところ平均が90弱であった

 

概ね事実なんでしょう。

数字に関しても特に問題はない。

 

それに対して、今回言いたいのは次にリンクするような記事。

www.daily.co.jp

「ロザン宇治原、IQ158以上で測定不能」

また世界の全人口の上位2%のIQを持つ人が入会できる知的交流機関MENSAの日本支部会員でもある宇治原。

「IQ148以上だと入れるんです。入会テストを受けたら、158以上あるけど、それ以上は計れませんと言われた」という仰天エピソードも。 

 

 この記事についてどう思うだろうか。

ロザン宇治原は天才なのだな、飛び抜けて頭がいいのだな、などとそのような感想が出るのではないだろうか。

宇治原の知能指数は高い。

それは間違いがない。

しかしどれくらい高いのかを勘違いさせられた人もいるはずだ。

 

東大生平均がIQ120だからIQ158以上というのは驚異的な数字。

この文には間違いがある。

東大生平均のIQ120と宇治原のIQ158以上というのはそもそも数字の基準が違うのだ。

 

IQは平均を100としてそこからの分布を計算したものだということは書いた。

その計算の部分で違いがある。

標準偏差というのだが、これはデータのばらつき、散らばり具合を表す数値である。

この標準偏差が小さいほどデータが全体に平均に近くまとまっているような形になるし、

標準偏差が大きいほどデータは上下にばらつきを見せる。

 

一般に使われているIQはウェクスラー式というもので、これの標準偏差は15だ。

けれどネットやTVの見出しとしてよく使われるのはキャッテル式に変換したもので、

これの標準偏差は24なのだ。

 

つまりどういうことなのか?

 

標準偏差15で計算したものと標準偏差24で計算したものでは、同じレベルのIQでも数字が変わってくることがあるのだ。

 

平均が100なのは同じである。

しかし標準偏差15で110だったものは標準偏差24で116となり、

標準偏差15で120だったものは標準偏差24で132となる。

標準偏差15で135だったものは標準偏差24で156となってしまうのだ。

 

つまり平均から離れれば離れるほど差が大きくなってくる。

これは頭の良い人間のIQをより高く見せるのに都合がいい為、

ネットやTVではあえてキャッテル式の標準偏差24に変換して使用していることがある。

 

そこでロザン宇治原のIQに戻ってみよう。

IQ158以上で測定不能だったとある。

ここで注目すべきはMENSAの入会基準がIQ148とされているところだ。

MENSAの入会基準はウェクスラー式のIQで130以上。

つまりこの数値は標準偏差24で計算されたものなので、

東大生平均がIQ120と言われる時に使われている標準偏差15に変換すると

宇治原のIQは136以上となる。

それでも十分にIQは高いのだけれど、見出しで使われたほどのインパクトはない。

 

測定不能となっているのは、宇治原が受けたのがMENSAの入会テストであって

通常の知能検査よりは簡略化されたものだからだと思う。

私は医療機関によるwais-Ⅲ検査結果による入会なのでMENSAの入会テスト内容は知らないが、

行列推理に偏っているという情報もあるし、何より実施時間が60分と短い。

wais-Ⅲは90分~120分程度かかる。(個人差あり)

また、医療機関で受ける知能検査は1問1問にかかった時間が計測され、

回答時の態度や様子なども細かく観察されている為、MENSAの入会テストはある程度簡略化されたものであると考えてよいと思う。

wais-ⅢによるIQの上限は160、下限は40なので宇治原のものよりずっと測定可能範囲は広い。

 

このように、メディアでは基準となる標準偏差が明かされずにIQの数値だけが取り扱われる事が多い。

メディアではインパクトも大事なのであえて標準偏差24に換算した数値を用いることも良いのだが、

標準偏差15と24が混在した状況はわかりにくいので誤解している人が多いはずだ。

日本では標準偏差15が主流なのに対し海外では標準偏差24が多く使われているので、

海外の高IQニュースは標準偏差の違いを考えながら見たほうが良い。

 

このブログのタイトルは「IQ162のバカ」としている。

ここで謳っているIQ162とは標準偏差24に変換したもので、標準偏差15であるwais-Ⅲの結果ではIQ139だ。

タイトルはインパクトも大事であり、メディアによって標準偏差24で計算されたIQの数値が広まっていることもあるので、

あえて換算した数値を掲げさせていただいた。

プロフィールなどで標準偏差24と明記してあり、最初の記事でその意味について説明しているので

読んでもらえれば誤解はないと思う。

 

このブログでは私という人間の考えなどをIQという側面から書き連ねていこうと考えている。

よろしければお付き合いください。